配布資料等「テオ・ヤンセンから学んだこと」 日本文理大学 工学部航空宇宙工学科 小幡章教授
テオ・ヤンセン展 コーヒーアワー情報
(日本文理大学 工学部 航空宇宙工学科 小幡 章教授
テーマ
テオ・ヤンセンさんから学んだこと
概 要
以前から気になっていたテオ・ヤンセンの作品を幸運にも大分で見ることが出来た。
予想通りであったが故に、ヤンセン氏の提示したものは単に芸術としてではなく、我々の生き方や技術に関わる重要な方向性を示すのではないかという想いを強くしたのだった。
関係者にそんな事を話しているうちに思わぬ展開となって、お前は若干近い領域で仕事をしているようだから、一言感想を述べよとの話になってしまった。
ヤンセンさんは天才的芸術家でこちらは一介の技術者ということで最初は固辞したが、ヤンセンさんの作品を見て風力利用に関心を持たれた方が多いと聴き、偶々今、全く新しい形態の小型風車(マイクロ・エコ風車という)を開発していることもあって感じたことを敢えてお話しをさせていただくこととした。
自分はヤンセンさんより遥かに技術者寄りなので立ち位置はかなり違うが、ここのデモ風車が示すようにヤンセンさんの世界と共通するところもあるように思うので、その観点で話をさせていただきたいと思う。(簡単に風車を説明。A4一枚の説明書配布)
技術的にはヤンセンさんの作品は機構学、低速の空気力学そして圧力という身近な現象と材料を利用して組み上げた、生き物に近い動きと機能を持っているもの、といってよいようである。
単純な回転運動をリンク機構によって思うような運動に転換することは技術の世界でも時々必要になるが、それを実現するためには際立った才能と努力と運が要求されることは良く知られている。彼が彼のリンク機構の秘密をホーリーナンバーと言うのも無理もない話である。
ヤンセン氏の才能なくしては成立しないとなると、余人の及ぶところではなくなるので発展性に欠けるということになりそうだが、自分には、ヤンセン氏の切り開いた世界がこれからの技術社会の向かうべき方向を示唆しているように思われてならない。単に文化や芸術として捉えるのはもったいないような気もする。
以下、若干の考察を加えたい。
彼の作品は4つの特徴を持っている。
・構成品はハードでなくソフトな材質である(本来のソフトウエアといえよう)。
・日常的な風と日常的な空気圧そして日常使われる材料を利用している。
・機構による動きは奇跡的ですらある。
・群をなすことで機能する。
こういう捉え方をすると、ここにあるマイクロ・エコ風車と一致点が多い(簡単に説明)。
羽根周りの空気の流れを可視化すると渦の作用は奇跡的とすら言える程見事である。(説明書に写真あり)。
彼の作品が生物に極めて近いことは明らかである。ヤンセン氏も進化と言う表現を好んで使っている。この風車は生物には見えないが元はと言えばトンボである。
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現代文明が突き当たっている技術の壁を乗り越えるべく、言葉では、地球温暖化、持続性社会、循環型社会、生物多様性、再生可能エネルギー、ネイチャーテクノロジー、バイオミメティックス等々数多くあるが、新しい技術に関する具体的な方法論が確立されている訳ではない。
ヤンセンさんの仕事は、この壁を越える唯一の方向が「生物」であるということを極めて具体的に示しているように思えてならない。
日本でも江戸時代には、環境に優しい一つの循環型社会が完成されていたといわれているが、世界には便利さを優先するところもあるし、自国の経済発展を至上とするところもある訳だし、我々自身江戸時代に戻る訳にも行かない。
環境問題を抱えながら、一方で競争社会にさらされている我々はどうしたらよいのだろう。
多少効率が悪くても人々が受け入れる条件は何であろうか。
ここでヤンセンさんの作品を改めて見ると、実用になるとは思わないが、共通して「心が癒される」効果を持つことに気付く。
一歩話を進めて、ヤンセンさんの作品が実際に有用な仕事をしてくれるとなると、世界中の人が、多少効率が悪くとも受け入れるのではないかということになる。
先程述べた物理的な特徴に加えるに「癒し」効果がヤンセンさんの作品が教えてくれる、新しい技術の方向性策定に向けてのポイントかもしれないぞ、が今回実物を見て学んだことと言える。
「生命の根源にさかのぼるような不思議な感情」を「癒し」という安直な表現で置き換えるのは気になるが、空気を食し、周りの者の生命を維持したり守ったりする動きが出来るような癒し効果のあるソフトな機械が現れる日が来ることを願って技術者は努力すべきなのかもしれない。
自分的にはそれほど残された時間がないので、同じような目標を持っていながらもう少し急ぎたい。ヤンセン・プログラムの物理的特徴の中の最も難しい機構問題に踏み込まないで何かが出来る方法が必要である。
自分は、それが実在の生物から学ぶことで可能になるのではないかと考えている。生物は数億年以上の時を経て信じられないような進化を遂げている。
トンボの羽根の空力メカニズムを利用してつくったのがこのエコ風車の試作品である。
ベランダに置いたこのエコ風車を見ることで人の心が多少とも癒されることを願っている。少なくとも太陽光パネルよりは見て気分が良い。
今回、ヤンセン展を見せていただいて大いに勉強になったし、勇気付けられもした。
以上、纏っていなくて恐縮であるが、動くものの「不思議な癒し効果」の重要性認識がヤンセン展での自分が学んだこということになる。
ustream配信情報
テオ・ヤンセン展大分の様々なイベントをustream放送します
ustreamページへ移動します ←動画配信ページへ
・9月22日 15:00~16:00予定 Live!
コーヒーアワー
「テオ・ヤンセンから学んだこと」
日本文理大学 工学部航空宇宙工学科 小幡章教授
・放送日未定
9月19日開催のコーヒーアワー録画放送
「自然のメッセージに耳を傾けるテオ・ヤンセンと宮沢賢治」
日本文理大学 工学部航空宇宙工学科 杉浦嘉雄教授
※上記配信予定は予告なく変更される可能性があります、御了承下さい。
9月9日
コーヒーアワー
「教養としてのものづくりのススメ」
日本文理大学 工学部建築学科 近藤正一准教授
9月15日
コーヒーアワー
「ナウシカと鉄腕アトム」
県立芸術文化短期大学 情報コミュニケーション学科 吉良伸一教授
9月18日 Live!
楊志館高校制作 メタルビーチアニマルお披露目イベント(仮称)
1部:12:00~
2部:15:00~%%anc%%
テオ・ヤンセン展大分 ustreamページ
メディアインフォメーション
・9/10発売 CASA BRUTUS 2011年10月号
・Architektura Krajobrazu.info ポーランド
http://architekturakrajobrazu.info/przestrze-miejska/141/2149-theo-jansen-i-eiki-danzuka-niderlandzka-sztuka-na-japoskiej-ziemi
※ポーランドの建築・デザイン系の出版社が管理するWEBサイト
・Arch Daily アメリカ
http://www.archdaily.com/167928/theo-jansen-exhibition-the-beach-animal-that-eats-wind-theo-jansen-with-earthscape/
※ArchDaily:
建築の最新デザインをアメリカから世界に向けて発信している
建築専門としては世界で一番読まれているウェブマガジン。
・HITSPAPER 日本
http://antenna7.com/artdesign/2011/09/theojansen.html
※HITSPAPERは次世代クリエーターの為のクリエイティブ・ポータルサイト。テーマは、人間とクリエイティブのオーセンテッィクな関わりやインディペンデントに蠢く次世代の創造性を発掘する事。インタビューやイベント・エキシビジョン情報を配信。エディケーションイベント[NIT]やカンファレンス[HIGH5]も主催。(WEBサイトより抜粋)
・art in asia
http://www.artinasia.com/galleryDetail.php?catID=0&galleryID=2519&view=7&eventID=12038
※アジアンアートの情報媒体として、NYなどでもあるポジションを確立しているメディアです。
来場者が100,000人を超えました
大分市美術館特別展 テオ・ヤンセン展の来場者数が10万人を超え、13日に記念セレモニーが行われました
同美術館では開館以来、過去最高の入場者数を更新中です。
大分市美術館 http://www.city.oita.oita.jp/www/contents/1315881832448/index.html
大分合同新聞web http://www.oita-press.co.jp/localNews/2011_131596027399.html
9月15日コーヒーアワー レジュメ
9月15日
「ナウシカと鉄腕アトム」
レジュメ
情報コミュニケーション学科 大分県立芸術文化短期大学
吉良伸一(キラシンイチ)
ホームページアドレス http://www.oita-pjc.ac.jp/~kira/
学位 文学修士(九州大学) 専門分野 社会学(家族・地域社会)
担当専門科目 少子高齢社会論、社会福祉論、現代と人権、環境と社会、地域社会特講 Ⅰ・Ⅱ、社会学演習Ⅰ・Ⅱ、社会調査法、基礎ゼミ、卒業研究
研究課題1 少子高齢化によってこれからの社会がどう変わっていくか。少子高齢化の中で過疎高齢化する地方はどう変わっていくか。またその対応はわが国の大都市圏と地方圏の人口移動はどう変わってきたか、など研究しています
研究課題2 社会学的教育実践としてのサービスラーニング
アメリカを中心に広く実施されているサービスラーニング(授業カリキュラムに組み込まれたボランティア活動などの地域活動)について、教育実践を行いながら研究している。この活動プログラムは文部科学省平成21年度大学教育推進プログラムプログラムに選定された。
研究業績 「社会学的教育実践としてのサービスラーニング」、大分県立芸術文化短期大学『研究紀要』、第47巻、2010年3月、単著、143-152頁。
『男女共同参画社会づくりのための意識調査』大分県生活環境部県民生活・男女共同参画課、男女共同参画社会づくりのための意識調査(委託研究)2010年4月
平成の市町村合併とは何だったのか 日本社会分析学会 社会分析 第36号 特集論文 2009年4月
人権に関する県民意識調査 大分県生活環境部 人権・同和対策課 2009年
地域活性化シンポジウム結果報告書 主催 尾鷲市、財団法人自治総合センター 平成19年10月7日(日)尾鷲市市民文化会館
センサス・コーホート法による地域間移動の分析Ⅱ 大分県立芸術文化短期大学 研究紀要第43巻 2005年
センサス・コホート法による地域間移動の分析 大分県立芸術文化短期大学 研究紀要第42巻 2004年
人権問題に関する県民意識調査報告書 大分県生活環境部 人権・同和対策課 2004年
高齢化社会の特質 辻正二・船津衛編著 『エイジングの社会心理学』 北樹出版 2003年 2010年度
社会活動 「体験をスキルに変えるナラティブ能力養成-サービスラーニングを中心とした自己の物語を探し創り発信する能力の形成プロフラム」(代表 吉良伸一・高橋雅也)が、大学教育推進プログラムに選定され、平成21年度から23年度の3年間、文部科学省の財政的支援のもとで、取り組みの充実と情報発信を行うこととなりました。情報コミュニケーション学科では地域で活躍されている人々や団体を招いて、地域社会特講を開講し、講演を通じて様々な地域活動への参加を促しています。サエモン23(7月)・たなばたブロードウェイ(8月)・上野の森アートフェスティバル(11月)など、ほぼ1年を通して活動に参加しています。
概要 わたしは鉄腕アトムや鉄人28号といった科学の時代に生きてきました。
戦争や環境破壊などの科学のもたらす悲惨さを知りながらも、科学に対する
信頼が心の中にあったと思います。プラモデルを組み立てたり、真空管やトラン
ジスターでラジオやアンプをつくったり、望遠鏡で天体観測をしました。テオ・
ヤンセンさんのビーチアニマルをみて久しぶりにこころがさわぎました。
テオさんの作品を見て多くの学生が風の谷のナウシカに出てくる王蟲(オーム)
に似ているといいました。破壊と再生をもたらす作品のなかで重要な役割を持つ
存在です。不気味さと懐かしさ、生と死、たしかにビーチアニマルと似通うとこ
ろがあります。作者は何を思って一連の作品をつくったのか、知りたいと思いま
した。テオさんの答えはプラスチックチューブのウィルスにとりつかれたためだ
そうです。人の人生と同じ、一生懸命生きた結果が、ただ美しかっただけだそう
です。しかしテオさんの作品はわたしたちにいろんなイメージをつきつけます。
私の大学には情報を学ぶ学生も、美術を学ぶ学生もいます。ビーチアニマルをつ
くることで、彼らが何を学び何を考えるのか、それがみたくて、学生とビーチア
ニマルづくりやワークショップに参加しました。わたしたちの生活のあり方が問
い直されているいま、学生と一緒に参加して感じたことがなんだったのか、もう
一度振り返ってみたいと思います。
1953 アイゼンハワー 核の平和利用に関する国連演説
マークⅠ型原子炉 圧力抑制プール 圧力容器 格納容器
ラスムッセン報告
NRC 水素爆発の危険性 1989 ベント導入
ベント フィルターなし 開放の遅れ 水素爆発 非常用電源 海側地下
原子力行政の最大の課題は想定を決めて想定外を無視すること
日本は別 こわれない 壊れても安全
確率が小さい→思考停止 安全の哲学の欠如
真理の大海は、すべてのものが未発見のまま、私の前に横たわっている。
(アイザック・ニュートン)
わたしたちは砂浜に打ち上げられる貝殻をあつめて大海を知っているつもりの子ども?
オランダ 干拓・環境問題・自由・尊厳死・同性結婚
テオ・ヤンセンさんの講演 7月11日(月)大分県立芸術文化短期大学
テオ・ヤンセン 1947年生まれ スフェベニンゲン
1 パイロット視力であきらめデルフト工科大学物理学を勉強
7年勉強 画家に 80年代初め 飛行物体 科学と芸術
80年後半 リチャードデュルケン(動物学者)の著作 進化に関心
プラスチックチューブ 電線の配線 FRP 塩素は含まれていない 肉厚が薄く軽い
どこにでもあり子どもの遊び道具 ウィルスに感染
2 チューブを使って新しい生命の形を
一つのルール 単一の素材でつくる 生命体 タンパク質
自然の力 風を食べて生きる 環境のなかで自分で生き続ける 浜辺で自生する
3 美しいものをつくろうと思ってつくっているのでなく、
材質にこだわってつくるこだわってつくった結果が美しい
作品によってつくらされている
4 エンジニアならセンサーを使ったりどの素材でも使えるが、
自分はこのチューブしか使わない 高速道路を使わずにオフロード
技術者も芸術家もいる どちらも大事
技術者 お金をかけないである素材でどうつくるかを考えてほしい
つくることに目的はない ただつくっているだけ 進化と同じ
アートとか科学とか、人間が勝手に線引きをしたもの、自分はそんなに創造的な人間ではないし、創造的である必要もない。試行錯誤を繰り広げながらできたものが美しかった。まるで、人生のようだ
私はあまり芸術と技術を分けて考えることはしない。こうした質問を受けるとき、私はイヌイットのことを考える。彼らは純粋に生活のためにいろんな道具を考え出すが、、形はプリミティブな力強さ、美しさに満ちている。機能を追求していくとそこの美しさが生まれる。
進化・発達・関わること
少子高齢社会に生きる若者 一人一人がその能力を十分発揮すること
若者が最も多い大学の使命
膨大な財政赤字 国債 債務超過
この社会で生きていく力
客観的合理的に観察する科学から関わり共に生きる科学
sein sollen werden